― 怒り・悲しみを持ちながら考える「感情形成のプロセス」 ―

SNSで流れてくるいじめ動画を見るたび、胸が締めつけられます。
正直、腹が立つし、悲しいし、しんどいです。
「人を人として見ていない」行為は言語道断。許せません。
でも、この怒りや悲しみをただ吐き出すだけでは、何も変わらないのも事実です。

だから私は、夫婦家族心理カウンセラーとして、そして一人の親として考えます。
どうしたら、人を人として見られる大人を増やせるのか。
どうしたら、いじめを生まない環境を作れるのか。


いじめは「突然の異常行動」ではない

いじめを目にしたとき、私たちはついこう考えてしまいます。

  • 性格が悪い
  • 想像力がない
  • 共感性が欠如している

もちろん一面の事実かもしれません。
でも、それだけで片付けてしまうと、本当の理解はそこで止まってしまいます。

人は、ある日突然「悪意だけの人間」にはなりません。
感情の扱われ方が少しずつ積み重なり、行動として現れる
これが、私の経験からの実感です。


【プロセス①】感情が、そのまま受け止められなかった体験

子ども時代の何気ない体験が、大きな影響を与えます。

  • 泣いたときに「うるさい」と言われる
  • 怒ったときに「わがまま」と片づけられる
  • 悲しんだときに「大したことない」と流される

これは親や大人が悪意を持って行っているとは限りません。
忙しさや余裕のなさで、つい起きてしまうことです。

こうした経験が積み重なると、子どもは無意識に学びます。
「この感情は出してはいけない」
「感じている自分は、そのままでは受け入れられない」

EQ(感情知能)が十分に育たないまま成長していくこともあります。
詳しくは、親の言葉が人間性に与える影響でも触れています。


【プロセス②】感情を、言葉ではなく「力」で処理するようになる

感情を言葉で表現できないと、人は別の方法で処理しようとします。

  • 強く振る舞う
  • 誰かを下に置く
  • 支配することで安心しようとする

これは「意地悪をしたいから」ではなく、
自分を守るための不器用な防衛反応です。

弱さを見せること=否定されること、という感覚が心の奥に根づくと、
他人の痛みが見えにくくなります。


【プロセス③】仲間ができ、歪んだ安心感が強化される

多くのいじめには、加害者が一人では存在しません。
仲間がいることで、似た不安や欠落感を抱えた人が集まり、安心感が強化されます。

さらに、現代ではSNSという「承認と評価の装置」が重なります。
再生数やコメントは、本人たちに「誰かに認められている」「評価されている」という錯覚を与えます。

本来、家庭や身近な関係性で得られるべき承認が、SNSによって歪んだ形で補われることで、
行動がエスカレートし、「おかしい」という感覚が鈍くなっていきます。


【プロセス④】大人になり、自己理解が止まってしまう

EQが十分に育たないまま大人になると、次のような傾向が見られることがあります。

  • 自分の非を認めるのが極端に苦手
  • 他人の感情を想像するのが難しい
  • 対話よりも「正しさ」を優先する

これは努力不足ではなく、感情を扱う経験が少なかった結果です。


それでも、EQは大人になっても育てられる

希望もあります。EQは、大人になってからでも育てられます。
人は、死ぬまで成長できます。

ただし、条件があります。
自分の感情と向き合い、対話できる「他者」と出会えるかどうかです。

だから私は、婚活においても強く感じています。
条件が合うかどうか、共感できるかどうか以前に、関係を築けるか、対話ができるかが重要です。

詳しくは、婚活の本質は誠実さにあるでもお伝えしています。


親として、完璧である必要はない

私自身、親として完璧だったとは思いません。感情的になったこともあります。
今になって反省することもたくさんあります。

でも大切なのは、感情をなかったことにせず、対話を諦めないことです。

この記事は、夫婦家族心理カウンセラーとしての立場と、一人の親としての実感をもとに書いています。

それが、いじめを生まない社会への、いちばん現実的で、いちばん人間的な一歩だと信じています。